寝ている「公助」起こせるか コロナ禍で問われる政治リーダーの姿勢:朝日新聞デジタル
寝ている「公助」起こせるか コロナ禍で問われる政治リーダーの姿勢:朝日新聞デジタル
出口が見えないコロナ禍のもとで、日々の暮らしに困窮する人が後を絶たない。住まいを失った人たちの支援団体「つくろい東京ファンド」で代表理事を務める稲葉剛さん(52)は、「自助も共助も限界。今こそ公助の出番だ」と訴えてきた。穴が開いたセーフティーネットを、どう立て直していけばいいのか。危機の時、政府はどんな役割を果たすべきか。衆院選を前に、貧困支援の最前線に立ち続ける専門家に聞いた。
◇
多様化する貧困
――コロナ禍が国内で本格化して1年半以上がたちました。貧困問題の状況をどう見ていますか。
「支援活動の現場からは、コロナ禍の特徴として、感染の拡大と貧困の拡大が一定程度、連動している構図が見えます。緊急事態宣言で経済活動が停滞し、特に飲食業など対人サービス業の末端で働く人たちが仕事を失い、ホームレス化していく。これが長期化するほど、事態が悪化していく状況になっています」
――この間、どんな変化がありましたか。
「昨年春の1回目の宣言の時は、ネットカフェ生活者のような、以前からある程度困窮していたワーキングプアの人たちが行き場を失い、路上に押し出されるということが起きました。ところが、秋ごろから状況は徐々に変わってきました」
――なにが起きたのでしょう。
「賃貸住宅で暮らしていたような中間層の人も含めて、失業などで収入が激減し、一気に住まいを失うケースが出ています。この傾向は今年に入って明確になっていて、東京都内のホームレス支援団体の炊き出しに集まる人の数は、昨年より今年の方が多くなっています」
――支援を求めている人にはどういう方が多いのでしょうか。
「若年層の相談が増えています。2008年のリーマン・ショックの後にも、若い人がホームレス化する状況がありましたが、今回はその時を上回っています。中には女性もいますし、子連れで炊き出しの列に並ぶ人もいました。外国籍の方の相談も多い」
――貧困がさまざまな層に広がっているのでしょうか。
「27年間、困窮者支援の活動をやってきましたが、炊き出しに来る人は、世代も性別も国籍も超え、これまでにないぐらい多様化しています。リーマン・ショック以降の社会の変化を映し出していると考えています」
――どういうことですか。
「『女性活躍』と言われて、女性の雇用は確かに増えてきました。ただ、その中心は非正規雇用で、飲食など女性の割合が高い業種がコロナで特にダメージを受け、困窮する女性が増えている。外国籍の人では、技能実習生なのに失業してホームレス化するケースがあります」
力不足の安全網
総選挙が迫るなか、いま私たちが考えるべきことは何か。有権者として何を問われているのか。寄稿やインタビューを通して考える連載です。「めざす社会像は自助、共助、公助」と就任演説で述べた菅首相に対し、稲葉さんは「国の責任放棄だ」と話します。後半では、「寝ている公助」を国はどうすべか、論を展開していきます。
――コロナ禍を受けた政府の支援策は、どう評価していますか。
「感染対策も貧困対策も全般的に場当たり的です。中長期的な視点を欠くものだったと感じています」
――その理由は?…

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