中国除くアジア新興国、貧困層2年連続増加 世界銀行(写真=ロイター)

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中国除くアジア新興国、貧困層2年連続増加 世界銀行(写真=ロイター)

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【シンガポール=中野貴司】世界銀行は28日、中国を除いた東アジア・太平洋地域の新興国の貧困層が2021年に2年連続で増加し、高止まりすると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大により就業できない人が増えるためだ。教育機会の減少によって若い世代が生涯に得られる収入が3.8%減る恐れがあるとも警告した。

世銀は同日発表した東アジア・太平洋地域の新興国の経済見通しの中で、1日当たりの所得が5.5ドル(約600円)以下の人を貧困層と定義し、23カ国の約21億人の状況を分析した。

コロナ前の予測では、中国以外の22カ国の貧困層は19年の計2億5900万人から21年は計2億4100万人に減少する見通しだった。実際は20年に2億6400万人、21年も2億6600万人と2年連続で増加した。コロナ前の予測との差は約2500万人に上る。

多くの国で新型コロナワクチンの普及が遅れ、先進国に比べ経済の回復が遅れるからだ。世銀は「20年には多くのアジアの新興国が新型コロナの封じ込めに成功していたが、今は先進国と状況が逆転した」と分析した。

コロナ前まで高成長を続け、貧困を年々減らしてきたアジアの新興国が「21世紀に入って初めて、低成長と不平等拡大に同時に直面している」とも指摘した。特にインドネシア、フィリピン、ミャンマーで貧困からの脱却が遅れているという。

学校が休校になったり、家庭の収入減で中退したりすることによる子供への影響も深刻だ。世銀の推計では、東アジア・太平洋地域の新興国の子供が学校で教育を受ける期間は0.7年短くなり、将来得られる年収も524ドル減る。生涯収入に換算すると、3.8%の減少となる。

一方、経済がいち早く回復した中国は21年に貧困層の人口が3700万人減る見通しで、減少ペースはコロナ前の予測とほぼ変わらない。子供が将来得られる収入の減少幅も約300ドルと、東南アジア諸国連合(ASEAN)や他の東アジアの国に比べて小さい。

世銀は21年の中国の経済成長率の見通しを8.5%と、4月時点の予測(8.1%)から引き上げた。それ以外の22カ国の成長率見通しを4月時点の4.4%から2.5%に大幅に引き下げたのとは対照的だ。

中国では不動産大手、中国恒大集団の債務問題が注目される。世銀のアディティヤ・マトゥー東アジア・太平洋地域担当チーフエコノミストは日本経済新聞に「恒大の問題は中国政府が不動産業界の過剰債務を抑制しようとしたことが起点になった」として、突発的に起きた管理不能な事態ではないと説明した。

「依然どのように収束するか見えない点が長期的な懸念事項だ」としながらも、現時点で中国経済の回復シナリオを見直す事態には至っていないとの認識を示した。


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